塾選びって どうするの?

このページでは“大学受験の塾”をどうやって選んだら良いのかについて説明します。これまで様々な予備校や塾で教えてきた学長の視点からお伝えします。

目次:

1.塾の種類

2.それぞれのメリット・デメリット

3.塾選びの視点

4.無料体験授業で見るべき点

5.最後の決め手は

1.塾の種類

塾を検討している方であればご存知かと思いますが、塾は次のようなポイントから分類することができます。

※他にもありますが、ここでは主なポイントを紹介しています。

①指導人数

個別指導/集団授業

まず挙げられるのが指導人数です。講師と生徒が1対1や1対2の個別指導か、講師1名に対して生徒が複数名いる集団授業の2パターンが代表的です。

②講師

ベテラン講師/学生講師

大手予備校などの塾では、ベテラン講師が教鞭をとることが多いです。一方、小規模な塾や個別指導塾、新興の(最近できた)塾は大学生などを中心とした学生講師が教えていることが多いです。

③対象年齢

学習塾(小学生〜高校生)/予備校(大学受験生)

首都圏では中学受験が盛んになり、小学生から塾に行くことも当たり前になっています。また、中学入学後の定期テスト対策なども必要になってきています。こうしたニーズから対象年齢が幅広い学習塾と、大学受験に特化した予備校の2種類に分けられます。(中学受験に特化した塾もありますが、ここでは省略します)

④受講方式

・対面/オンライン

次に考えられるのが受講方式による違いです。対面(リアル)での授業はこれまで当たり前とされてきた授業形式です。一方、コロナ禍で急速に普及したのがオンライン授業で、感染のリスクを避けて自宅で受講できます。

⑤専門性

・特化型/総合型

最後に、近年広がっているのが何か一つに特化した塾です。ここではそうした塾を特化型と呼ぶことにします。例えば、AO入試に特化している、授業をしない、といった特徴を掲げている塾です。一方で、これまでのように総合的に指導を行う塾(ここでは総合型と呼びます)に分けられます。

2.それぞれのメリット・デメリット

①個別指導/集団授業

個別指導塾のメリットは受講生本人の学習進度や理解度に合わせた指導ができることです。デメリットは他の受験生の情報が入らないこと。自分の進度で進めてしまうため、受験までに学習が間に合わない可能性があることです。

一方、集団授業のメリットは他受講生に刺激を受けることができる、一緒に切磋琢磨できることです。デメリットはかなり大人数の授業の場合、可能性があることです。ただし、少人数制の集団授業はフォローしながら進めることがほとんどです。また、授業についていけなくなった際のフォロー体制を設けている塾が多くあります。

②ベテラン講師/学生講師

ベテラン講師は長年指導しているため、受験を知り尽くしており、豊富な経験から合理的な指導を行ってくれることがメリットです。一方、ある程度年齢を重ねているため、受講生との話題や感覚などでギャップが生じる場合があることがデメリットでしょう。

学生講師は受講生との年齢差がないため、受講生の気持ちがわかり、すぐに受講生と打ち解けることができることがメリットと言えます。しかし、それが故、受講生から見て先生というより友達感覚になってしまったり、経験が足りないため誤った指導をしてしまったりすることがデメリットです。

③学習塾(小学生〜高校生)と予備校(大学受験生)

学習塾のメリットは「長年通えること」ですが、デメリットは幅広い年齢を対象としているため、「大学受験関連のリソース(主に講師)が不足している」可能性が高いことです。

一方、予備校のメリットは大学受験に絞っているため、人材や教材などのリソースが豊富です。デメリットは大学受験生の場合、ほぼないでしょう。

④対面とオンライン

対面授業は集中しやすく、理解度も高くなる傾向にあります。授業後、その場で質問できることも魅力です。一方、家や学校から塾まで移動の必要があること、時間的な制約があることはデメリットとも言えますが、メリットの方が大きいでしょう。

コロナ禍において感染のリスクを避けられたり、時間を有効活用できたりすることがオンライン授業のメリットです。しかし、オンライン授業では集中力が続かなかったり、他の受講生の様子が分からなかったりします。また、オンデマンド型授業の場合、自分で計画を立てて進めていかないと最後まで終わらないケースが多いです。

⑤特化型と総合型

絶対にこの受験方式で行くのだ、この勉強方法が自分に合っているのだ、という方は特化型の塾が合っているでしょう。しかし、次の項目でも説明しますが、そこまで自信が持てない場合は総合型の塾に通うことをお勧めします。

*ちなみに、あおい予備校は上記のポイントで説明すると次のようになります。

①集団授業だが、少人数での授業(個別指導も行っています)を実施、

②予備校(大学受験対策塾)、③ベテラン講師を中心に、学生講師も個別指導などで活躍、④対面とオンラインの両方が受講でき、⑤総合型の塾ですが総合型選抜など各入試方式を熟知した講師が指導しています。

3.塾選びの視点

こうしたメリット・デメリットを踏まえ、多種多様な塾から自分やわが子に合った塾を選ぶにはどうしたら良いのでしょうか。ここではいくつかの視点をご紹介します。

①可能性を狭めない

他の記事でも説明している通り、大学受験は受験方式の多様化・煩雑化が進んでいます。その中で「なるべく多くの方式を活用して入りたい大学に合格する」とためには、早い段階から可能性を狭めないことが大切です。例えば、高校2年生時点で総合型選抜しか受けないと決めて、特化型の塾のみに通うことは可能性を狭めることになります。10代は短期間で大きく成長することができる時期のため、自ら可能性を狭めることだけは避けてください。

②中学受験と大学受験は違う

中学受験者数は2020年に4万人を超え、文京区では2人に1人が中学受験を経験しているほど、中学受験経験者が増えています。そんな方は中学受験の考え方を、大学受験でも同じように当てはめてしまう傾向にあります。しかし、中学受験と大学受験は全く異なります。確かに大学受験でも早めに塾に通い始めることは大切ですが、勉強内容は志望大学や学科、また入試方式でも異なります。そのため、塾選びの際、それぞれに合わせた対応をしてくれるかどうかを考える必要があります。また、中学受験時同様、合格実績で塾を選びがちですが、大切なのは「その塾が受験生本人の志望大学合格に導いてくれるのか」ということです。

ちなみに当塾のスタッフでも例に漏れず中学受験経験者がいますが、「中学受験のインパクトが大きすぎて、当初、大学受験も同じように考えていた」と言っています。

③無料体験授業や説明会を受講してみる

ほとんどの塾では無料体験授業や説明会を実施しています。入塾前にできる限り、無料体験授業などを受講してみてください。そこで校舎の様子や、講師・スタッフにどんな人がいるのか分かります。オンライン授業の場合でも実際に受講してみることでどのように授業が進められていくのか確認できます。なお、無料体験授業や説明会は常に行っている塾もありますが、多くの塾では新学期前後、夏期講習などの季節講習などでやっていますので、気になる塾があったら問い合わせて確認してみましょう。

4.無料体験授業で見るべき点

それでは、無料体験授業で何を見ればよいのでしょうか。 次のような点を見てみましょう。

①授業が分かりやすいかどうか

体験授業で授業の内容をすべて理解することは難しいと思いますが、「自分にとって聞いていて分かりやすいかどうか」ということはまず大切なことです。

②講師の様子

実際に通うと毎週授業を受けることになります。可能であれば、授業で分からなかったことなどを質問してみると良いです。

③他の受講生の様子

他の受講生はどんな生徒がいるのか、ということは見ておきましょう。

④スタッフの対応

きちんと受け答えができているかどうかは当たり前のことですが、フォロー体制がどうなっているか、なども聞いておくと良いです。

⑤校舎の様子

校舎の清潔感、コロナ対策の有無や、駅からの距離はどうか、周りの環境なども確認しておくと良いでしょう。

5.最後の決め手は

「体験授業や説明会は良かった」「講師やスタッフの対応も良さそうだ」となったとき、最後に一つだけ確認したいことがあります。それは、受講生本人の気持ちです。塾選びを率先して行うのは保護者の方が多いです。受講料を払うのは保護者だから当たり前といえば当たり前です。しかし、中には保護者の方は納得していても、受講生本人が納得していないというケースも多くあります。

塾に実際に通い、大学受験をするのも本人です。最後は親子で話し合って納得のできる塾に通ってほしいと思います。

この記事を書いた人:武田 菜穂子(あおい予備校校長)

早稲田大学大学院(政治学研究科)博士課程修了。上智大学大学院(現 グローバル・スタディーズ 国際関係論専攻)修了。上智では日本人初の国連難民高等弁務官 緒方貞子氏に師事。県立高校教諭、大手証券会社を経て有名塾・有名予備校講師を歴任。

予備校講師歴35年以上。日経新聞など各メディアへの出演も多数。これまでに指導してきた生徒はのべ20,000名以上※。生徒一人ひとりの個性を生かした進路指導に定評がある。
※一般・総合型選抜(旧AO)、各種推薦など

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