新入試方式に完全対応!大学入試方式徹底解説
2021年度から大学入試共通テストが始まるなど、大学入試を取り巻く環境が大きく変化しています。この記事では最新の入試動向を踏まえ、大学入試方式について解説していきます。
目次:
1.変わる大学入試とその背景
そもそも大学入試改革は文部科学省が行っている学習指導要領の改訂とそれに伴う、高大接続改革の一貫で始まりました。この学習指導要領の改定では、資質・能力の3つの柱に基づく教育を行い、「主体的・対話的で深い学び(アクティブ・ラーニング)の視点から『何を学ぶか』だけでなく『どのように学ぶか』も重視して授業を改善」することを目指しています(文科省HPより抜粋)。この「アクティブ・ラーニング」という言葉ですが、多くの方は聞いたことがあると思います。
こうした改革の中、2021年度から大学入試センター試験から大学入学共通テストへ変わったり、様々な入試方式が導入されたりしているのです。 そもそもなぜこのような改革が始まったのでしょうか。
それは、目まぐるしく変化する現代社会において、これまでの考え方や方法が通用しなくなってきたからです。
例えば、AI・ロボットの登場により、将来「なくなる仕事」は少し前に話題になりました。単調な仕事をこなすだけ、課された課題をこなすだけ・・・そうした人材は徐々に求められなくなっていくのです。
では、どのような人材が求められるのか?―それは「自ら問題を発見し、他者と協力していくための資質や能力」を持った人材です。これこそ、文科省が新しい学習指導要領で力を入れている能力になります。
2.改革はいつまで行われるの?
大学入試改革、実はまだ終わっていません。では、いつまで行われるのでしょうか。
高等学校における新学習指導要領は2022年から開始されます。
つまり現在の中学3年生から新たな学習指導要領で学ぶことになります。これに伴い、現在の中学3年生が高校3年生になる、2025年度大学入学共通テストの試験内容の変更が行われます。
中でも英語の民間試験利用についてはニュースでも盛んに報道されていましたので、ご存じの方も多いと思います。
今夏、文部科学省は、2025年の大学入学共通テストにおける英語民間試験の活用と記述式問題の導入は「実現は困難」として導入の断念を正式に発表しました。
ただし、英語試験の変更以外にも変更はあります。
現在の6教科30科目から「情報」を新設した7教科21科目に再編されます。例えば、公民では「公共」という科目が加わります。
ちなみに大学入学共通テストについては別途記事を掲載しますので、くわしくはそちらをチェックしてください。
3.総合型選抜(旧AO)入試とは
ここからは入試方式についてそれぞれ解説していきます。入試方式は大きく分けて以下の3つの方式があります。
・総合型選抜入試
・学校推薦型選抜入試(公募制/指定校制)
・一般選抜入試
まず、総合型選抜入試について簡単に説明します。少し前までAO入試と言われていた入試方式です。
文科省は大学入試に関して、とにかく「多元的に」「多面的に」「総合的に」評価するようにとしています。
総合型選抜入試はまさにその一つで、「能力・適性や学習に対する意欲,目的意識等を総合的に評価・判定する入試方法」としています。
具体的には、
①事前提出書類を提出後、
②面接(口頭試問)や筆記試験、小論文、プレゼンテーション、実技などが課されます。中には共通テストが課される大学もありますので、注意が必要です。
①は活動報告書や志望理由書、学修計画書などで、大学によって形式や分量は様々です。
②も大学によりますが、どれも自己流で対策するのが難しく、事前の対策が必要となってくる試験です。
よく受講生や保護者の方から「総合型選抜(AO)入試は併願できないと聞いています」と言われることがあります。確かに、単願の総合型選抜(AO)入試もあります。しかし、併願が可能な入試もあります。せっかく併願できるのにしないでチャンスを逃してしまった・・・ということにならないよう、事前のリサーチは欠かさず行いましょう。
出願のタイミングは9月1日以降に、合否の結果が出るのは11月1日以降です。
これも大学によりますが、9月〜10月に出願、11月〜12月上旬に合格発表というのが一般的です。
スケジュールについて、注意したいのは総合型選抜入試にかかりきりになっていたけれど、残念ながら“不合格”となった場合です。12月上旬に結果が出てから一般選抜の対策に取り掛かるのは正直厳しいです。幅広く準備をしていくことが大切になります。
▶総合型選抜入試について、事前提出書類や面接対策など、詳しくはこちら
4.学校推薦型選抜(公募・指定校)入試とは
これまで推薦入試と言われてきた入試方式です。総合型選抜入試と同様、この入試方式も学力だけでなく総合的に評価する試験方式です。
学校推薦型選抜の中でも、公募制(公募推薦)と指定校制(指定校推薦)に分かれます。
国公立大学での学校推薦型選抜の枠は少ないですが、実施している大学もあります。
私立大学の公募制では、大学側の提示する条件(学校の評定平均など)を満たせば誰でも出願できるようになっています。総合型選抜入試同様、事前に自己推薦書や、学校に用意してもらう調査書など、書類の提出が必要です。
試験内容は筆記試験や面接(口頭試問)などがあります。
指定校制は学校の提示する評定平均をクリアしていることが条件となります。
その後、学校側に用意してもらう調査書や推薦書を提出し、面接などの試験を行います。指定校制は「受験すれば必ず受かる」と思われがちです。確かにその傾向は強いですが、昨今では必ずしもそうではなくなっています。
また、専願制ですので、合格したら必ずその大学に入学しなければなりません。
学校推薦型選抜の出願は11月1日以降、合否の結果は12月1日以降で、一般選抜入試の試験10日前までと決まっています。
学校推薦型選抜も大学により名称や試験内容は異なりますので、志望大学のリサーチが必要です。
5.一般選抜入試とは
保護者の皆さまは、“大学受験といえば一般入試”というイメージの方も多いのではないでしょうか。
確かに現在も一般選抜入試の募集枠は他の入試方式と比べると多くなっています。
そんな一般選抜も方式が複数あります。国公立大学では共通テストで必要な科目を受験し、各大学の個別(二次)試験を受験するという方式で変わりません。入試日程は前期日程、中期日程、後期日程とあります。
中期日程は一部の公立大学が実施しています。後期日程を実施している大学は減っており、定員も少ないです。
私立大学は3科目型や2科目型、共通テスト利用といったパターンが多いです。
最近では共通テストを課す大学(早稲田大学や上智大学など)が増えてきています。
6.大学入試のスケジュール
ざっと3つの入試方式について説明してきました。よく聞かれるのは「いつ何があるのですか?」「スケジュールが分かりません」という質問です。
中にはスケジュールを勘違いしていて、出願できませんでした・・・という悲しい出来事もありました。
スケジュールは正確に把握しましょう。ここでは大まかな流れをまとめています。
7.結局どの入試方式を選んだらいいの?
これまで各入試方式について簡単に説明してきましたが、大学入試は煩雑化していて、何を受けたらいいのか、どうやって対策したらいいのか、悩んでいる方は多いでしょう。
端的に言うと、使える入試方式はすべて利用したほうが良いです。チャンスは最大限利用しましょう。
そのためにも、高校2年生や1年生は、まず、自分の将来についてじっくり考えてみましょう。そして、行きたい大学を決め、(大学選びのコツはこちらから)その大学のHPを訪問したり、大学主催イベントや大学が参加するイベントに参加したりして、情報収集をしましょう。
もちろん、学校推薦型選抜入試を利用する場合、評定平均が問われるので、学校の定期テスト対策(学力対策)が重要です。学校の勉強もがんばりましょう。
また、総合型選抜入試や学校推薦型選抜入試を利用する場合は各大学が課す試験内容はもちろんですが、併願できるのか、それとも単願なのか、などはチェックして入試スケジュールを組み立てる必要があります。
前にも書きましたが、せっかくのチャンスを逃さないようにしましょう!
コロナの影響もあり不透明な要素も多いですが、だからこそ、早めに情報収集を開始することをおすすめします。
▶あおい予備校では将来の進路と大学選びから徹底的にサポートする“あおいメソッド”で新たな受験指導をおこなっています。受講相談はこちらから
この記事を書いた人:武田 菜穂子(あおい予備校校長)
早稲田大学大学院(政治学研究科)博士課程修了。上智大学大学院(現 グローバル・スタディーズ 国際関係論専攻)修了。上智では日本人初の国連難民高等弁務官 緒方貞子氏に師事。県立高校教諭、大手証券会社を経て有名塾・有名予備校講師を歴任。
予備校講師歴35年以上。日経新聞など各メディアへの出演も多数。これまでに指導してきた生徒はのべ20,000名以上※。生徒一人ひとりの個性を生かした進路指導に定評がある。
※一般・総合型選抜(旧AO)、各種推薦など