総合型選抜・学校推薦(公募制)の倍率まとめ|倍率が高い理由は?高い倍率の学部・学科を受験する際の注意点
総合型選抜・学校推薦を考えている受験生が気になることの一つが「倍率」ではないでしょうか。 本記事では倍率の見方やなぜ倍率が高くなるのか、受験生に人気のある大学の倍率、倍率が高い大学を受験する際の注意点を紹介します。
◆目次
1.総合型選抜の倍率の見方は?

そもそも「倍率」とは、「志願倍率」と「実質倍率」の2種類に分かれています。
志願倍率とは「受験志願者数÷募集定員」、つまり志望する大学の学部が設定する募集人数に対して受験志願者がどれだけいるかという倍率のことです。
一方実質倍率とは「受験者数÷合格者数」、合格者数に対してどれだけの人が受験したかという倍率のことです。
併願可の大学であれば、募集定員よりも合格者数が多くなるため、実質倍率は低めに出る傾向があります。
2.倍率が高くなる要因とは
では、どういった学部・学科の倍率が高くなるのでしょうか。ここではその要因を見ていきます。
①募集人数が少ない
そもそも募集人数が少なく、なおかつ人気の学部であれば必然と倍率は高くなります。
②出願条件が厳しくない
慶應義塾大学総合政策学部・環境情報学部(SFC)は出願条件がありません。提出書類も志望理由書と活動報告書のみなので、毎年多くの受験生が出願します。倍率は5倍程度で推移しており、難易度が高い難しい試験です。
③提出書類の分量が少ない
事前提出書類の分量が少ないと倍率が高くなる傾向にあります。逆に、志望理由書が2千字だったり、さらに課題レポートが課されていたりする大学は準備に時間がかかると敬遠する受験生もいて倍率が低くなります。
④併願が可能である
募集要項を見ると専願か併願かという記載が必ずあります。専願の場合、その大学を受かった場合、必ず入学しなくてはなりません。よって、併願が可能な学部の方が、倍率が高くなる傾向にあります。
⑤浪人生も受験ができる
現役生のみが受験できる試験が多いですが、浪人生が受験可能な学部もあります。この場合も倍率が高くなる傾向にあります。
【ワンポイント】「倍率が低い=難易度が低い」というわけではない
出願条件が厳しくてそもそも出願できる受験生が少ないという場合もあります。
例えば、上智大学国際教養学部の推薦入学試験(公募制)ではTOEFL iBTスコア83以上で評定平均4.0以上という出願条件があり、倍率は2.3倍となっています(2025年度入試)。
高校生でTOEFLを受験している人は少ないでしょうし、TOEFL iBTスコア80以上は英検でいうと1級程度ということになります。こうした出願条件だと出願できる人は少ないでしょう。
上智大学国際教養学部の学校推薦(公募制)二次試験では英語の面接や英語の小論文が課されています。この場合、倍率は低くなる傾向にありますが、決して試験が「簡単」ということではありません。
3.早慶上智・GMARCHの総合型選抜倍率一覧

それでは、実際に受験生に人気の高い大学・学部の倍率を見ていきましょう。同じ大学でも学部や試験ごとに倍率が異なることが分かります。(明治大学は一般選抜に力を入れているため、ここでは紹介していません)
*倍率は2024年度入試の数字
▶早稲田大学
【ひとことメモ】総合型選抜といっても10種類以上もあるのが早稲田大学です。
例えば、地域探求・貢献入試では事前提出書類や小論文試験の他に、共通テストの受験が必要です。法学部、教育学部、文化構想学部、文学部、人間科学部、スポーツ科学部で募集をしています。
学部 | 入試方式 | 倍率 |
---|---|---|
法学部 | 地域探求・貢献入試 | 33.0倍 |
社会科学部 | 全国自己推薦入試 | 5.7倍 |
国際教養学部 | AO入試[4月入学・国内選考] | 3.6倍 |
創造理工学部建築学科 | 早稲田建築AO入試 | 4.3倍 |
文化構想学部文化構想学科 | Global Studies in Japanese Cultures Program日本学生入試 | 2.8倍 |
人間科学部 | FACT選抜 | 1.2倍(学部全体) |
▶慶應義塾大学
【ひとことメモ】慶應義塾大学SFCは日本で初めてAO入試を導入しました。他にも総合型選抜は法学部のFIT入試、文学部の自主応募制による推薦入学者選考などがあります。
学部 | 入試方式 | 倍率 |
---|---|---|
総合政策学部 | 夏秋AO入試 | 5.9倍 |
環境情報学部 | 夏秋AO入試 | 4.5倍 |
法学部政治学科 | FIT入試【A方式】 | 6.0倍 |
看護医療学部 | AO入試【A方式】 | 16.0倍 |
文学部 | 自己応募制推薦入試 | 2.1倍 |
▶上智大学
【ひとことメモ】総合型選抜はなく、公募制推薦になり、各学部・学科によって出願条件が異なります。
学部 | 入試方式 | 倍率 |
---|---|---|
総合人間科学部社会学科 | 推薦(公募制) | 4.9倍 |
総合人間科学部心理学科 | 推薦(公募制) | 4.7倍 |
総合人間科学部教育学科 | 推薦(公募制) | 3.9倍 |
文学部英文学科 | 推薦(公募制) | 1.0倍 |
外国語学部ポルトガル語学科 | 推薦(公募制) | 1.0倍 |
▶学習院大学
【ひとことメモ】総合型選抜を実施しているのは国際社会科学部のみで、他は学校推薦(公募制)を実施しています。2026年度入試より新学部(国際文化交流学部)を開設予定。
学部 | 入試方式 | 倍率 |
---|---|---|
国際社会科学部 | 推総合型選抜(AO) | 2.7倍 |
文学部教育学科 | 学校推薦(公募制) | 6.0倍 |
法学部政治学科 | 学校推薦(公募制) | 1.0倍 |
▶青山学院大学
【ひとことメモ】自己推薦入試という名前で実施しています。実施している学部学科:【文学部】【地球社会共生学部】【コミュニティ人間科学部】。2026年度入学者選抜より、総合型選抜 「理工系女子特別入学者選抜」を新たに実施します。
学部 | 入試方式 | 倍率 |
---|---|---|
コミュニティ人間科学部コミュニティ人間学科 | 自己推薦入試 | 5.3倍 |
文学部比較芸術学科 | 自己推薦入試 | 4.9倍 |
地域社会共生学部地域社会共生学科 | 自己推薦入試 | 2.4倍 |
▶立教大学
【ひとことメモ】自由選抜と国際コース選抜があります。自由選抜はすべての学部で実施され、国際コース選抜は法学部と異文化コミュニケーション学部のみでの実施です。基本的に併願可で、募集人員も少ないので、倍率は高めです。
学部 | 入試方式 | 倍率 |
---|---|---|
文学部教育学科 | 自由選抜入試 | 15.5倍 |
経営学部経営学科 | 自由選抜入試(方式A) | 15.4倍 |
異文化コミュニケーション学部〈Dual Language Pathway〉 | 国際コース選抜 | 2.8倍 |
▶中央大学
【ひとことメモ】実施している総合型選抜入試には、チャレンジ入学試験(法学部)、自己推薦入学試験(文学部、国際経営学部)高大接続入学試験(経済学部)、高大接続型自己推薦入学試験(基幹理工学部、社会理工学部、先進理工学部)などがあります。
学部 | 入試方式 | 倍率 |
---|---|---|
法学部法律学科 | チャレンジ入試 | 9.7倍 |
法学部国際企業関係法学科 | チャレンジ入試 | 11.5倍 |
経済学部 | 高大接続【資格・実績評価型】 | 2.3倍 |
▶法政大学
【ひとことメモ】自己推薦入試という名前で実施しています。英語外部試験を併用した試験や、国際バカロレア利用や海外留学経験がある受験生を対象とした試験もあります。
学部 | 入試方式 | 倍率 |
---|---|---|
キャリアデザイン学部 | キャリア体験自己推薦入試 | 5.3倍 |
人間環境学部 | 自己推薦入試 | 4.9倍 |
現代福祉学部福祉コミュニティ学科 | グローバル体験公募推薦 | 1.2倍 |
4.倍率が高い試験を受ける際の注意点
倍率だけを見ると、一般選抜よりも総合型選抜の方が高い大学もあります。
ですから、総合型選抜に全振りすることは危険です。総合型選抜・学校推薦(公募制)では受験校を絞り、一般選抜を見据えて全方位で対策をしていきましょう。
そして、手段と目的を取り違えないことが何よりも大切です。
総合型選抜はあくまでも志望する大学に入るための「手段」でしかありません。
あおい予備校では総合型選抜・学校推薦から一般選抜まで見据えた「志望校に合格すること」にフォーカスしたダブル対策を推奨しています。
どの入試を受けたらいいのかなどお悩みの方はぜひ一度ご相談ください。
