【校長ブログ】第13回 大学受験は情報戦
◆目次
2022年度大学入試を振り返って
こんにちは。あおい予備校校長の武田菜穂子です。
私立大学の入試もほぼ落ち着き、あとは国公立大学の前期試験の結果を待つ時期となりました。
長かった受験シーズンも終わり、受験生の皆様、本当にお疲れ様でした。
昨年に続き、コロナ禍での入試は受験生にとっても保護者にとっても本当に気が気でなかったと思います。
今年度の入試を振り返り、大学入試はますます「情報戦」の様相を呈してきたなと実感します。
共通テストが難化したことで、土壇場で志望校・受験校の変更を余儀なくされた受験生も多かったと思います。
ただこれはセンター試験時代から続いている現象です。これまでも、受験科目によって平均点に差が出たり、同じ科目でも実施年度によって問題の難易度にばらつきがあったりしました。
そのたびに国公立大の志願者は出願校の検討を迫られ、中には、国公立大の受験をあきらめ、私立大学対策に切り替える受験生もおりました。
各予備校が収集した共通テストの得点状況及び合格可能性の判定は、相変わらず重要な情報です。
今回のブログで強調したい「情報戦」というのはこれとは質的な違いがあるものです。
少子化でも大学受験は変わっていない
共通テストの受験者は約50万人、そのうち国公立大志願者数は約30万人で、この数字は少子化が進む中で、ほとんど変わっていません。
東京大学を頂点とする最上位層の受験対策はこの意味で保護者世代とは大きく変わっていないだろうと思われます。
後期日程を廃止し、その代わりに総合型選抜が導入されたといっても、入学定員における比率はまだ5%足らずです。したがって難関国立大を目指す受験生であれば、共通テストや2次試験の過去問を研究し、それに向けた勉強を粛々と進めることになるでしょう。
科目数が多いことに加え、教科書学習だけでは到底太刀打ちできない問題をどう解くのか、予備校の授業も受験参考書もそこにフォーカスしてきたと言えます。
そうした大学入試における最上位層を除いた「ふつうの受験生」にとって、大学入試は参考書や問題集を解くだけではなくなりました。
国公立大とは異なり、私立大学は、総合型選抜・学校推薦による入学者がすでに5割を超えています。
その分一般選抜に回る定員枠が減ったことで、一般選抜の競争率が上がっています。
少子化による易化が予想されていたにもかかわらず、有名校の倍率は変わっていないのです。
大学受験における情報戦とは
こうした状況では、倍率の高い一般選抜を避けるために試験日の早い総合型選抜での受験プランを考える受験生が増えています。
しかし人気校の場合、総合型選抜もやはり難関ですから、「入れる大学」を探しているうちにどんどん出願先のランクを落とさざるをえなくなっていきます。
これでは、せっかく将来の目標の実現のために選んだ大学に入るチャンスを逃してしまうことになります。志望大学に入るためのあくまで「手段」である総合型選抜が目的化してしまっています。
私の考える「大学受験は情報戦」というのは、
(1)志望校に入るための入試方式にはどんな種類があるのか
(2)その入試方式で何回受験できるのか
(3)出願資格は何か
(4)資格によってどれだけ有利になるのか
ということです。受験生の中でこの(1)~(4)のすべてを把握できているのはどれくらいの割合でしょうか。
この場合の資格としてわかりやすいのは英語外部試験のスコアでしょう。
例えば上智大学のTEAP利用入試(一般選抜)ですが、TEAPスコアが十分高ければ圧倒的に有利です。実際当塾の塾生もこの方式で合格を果たしています。
なお立教大学のように共通テストの英語の得点がそのまま一般選抜の英語の得点に反映されてしまう大学だと、受験のヤマが2月でははく1月中旬の共通テストになります。
大学入試についてはメディアの関心も高いので、度々報道されてはいますが、必ずしも多くの受験生にとって役立つ情報になっているわけではありません。
あおい予備校では1人1人の受験生のニーズに合った正しい情報戦略を駆使して皆さんをサポートしていきます。
この記事を書いた人:武田 菜穂子(あおい予備校校長)
早稲田大学大学院(政治学研究科)博士課程修了。上智大学大学院(現 グローバル・スタディーズ 国際関係論専攻)修了。上智では日本人初の国連難民高等弁務官 緒方貞子氏に師事。県立高校教諭、大手証券会社を経て有名塾・有名予備校講師を歴任。
予備校講師歴35年以上。日経新聞など各メディアへの出演も多数。これまでに指導してきた生徒はのべ20,000名以上※。生徒一人ひとりの個性を生かした進路指導に定評がある。
※一般・総合型選抜(旧AO)、各種推薦など