学習計画書ってどうやって書くの?
総合型選抜(旧AO入試)での受験を検討中の皆さん、募集要項を見ていて「学習計画書(学修計画書)」の提出を求められているということはありませんか?
総合学科などを中心に高校によっては自分の興味や関心などにそって授業を組む経験がある人もいるかもしれませんが、大学はシラバスを基に自分で授業を選択し、研究室を自分で選んで学んでいきます。
シラバスについてはこのあとお伝えしますが、どんな授業があるのかという一覧のようなものと思ってください。
多くの受験生にとって自らの意思をもって授業を選択してきた経験が少なく、学習計画書は意外と難しい書類です。
そこで今回は、学習計画書の書き方についてご紹介していきます。
◆目次
1.そもそも学習計画書とは?
総合型選抜(旧AO入試)で求められる学習計画書とは、大学入学後にどのようなことを学び、実行していきたいのかを伝える書類です。
文部科学省によると、学習意欲を有しているかを確認するためのもので、学習の目的、学習の計画、学習継続の意志の3項目で確認するとされています(公文書では学修と表記されます)。
〇学習の目的
目的は卒業後の将来展望を含めて、どのような目的でこの大学に入るのかということです。
志望動機書とはズレがないように、卒業後の将来展望や社会に出てどのようなことをしていきたいのかも目的としてここで述べていきます。
学習計画書の中心になるのは次の計画になりますが、目的がまずはっきりとしていなければ計画は立てられません。
看護師や弁護士など同じ職業を志す友人同士でも話してみると、そのきっかけや目指す将来像、興味ある分野は大きく異なります。
「看護師になりたい」だけでなく、「専門的な知識はもちろんのこと、ほかの職種や地域との連携も踏まえた包括的な医療を学んでいきたい」など具体的にしていく必要があります。
文部科学省の「大学等への修学支援の措置に係る学修意欲等の確認の手引き」によると以下の観点が明示されています。
- 学修の目的が明確に述べられているか
- 学修の目的を自身の言葉で表現できているか
- 卒業後の将来の展望が述べられているか
- 社会で自立し、活躍できるようになることが期待できるか
〇学習の計画
計画は目的を踏まえて何をどう学びたいかを自分の言葉で述べるものです。
より具体的に練っていく必要があり、学習計画書の中心部分になっていきます。
文部科学省の「大学等への修学支援の措置に係る学修意欲等の確認の手引き」では以下の観点とされています。
- 上記の学修の目的を踏まえ、これまでに何を学び、今後、何をどのように学びたいか等が自身の言葉で述べられているか
〇学修継続の意志
継続の意志とは卒業まで学習を全うし、しっかりと学ぼうとする意欲があるかを示すものになります。
目的と計画を示したうえで、ここで4年間やっていきたいという意欲をぶつけます。
文部科学省の「大学等への修学支援の措置に係る学修意欲等の確認の手引き」では以下の観点とされています。
- 卒業まで学修を全うとしようとする意志があるか
- しっかりと学ぼうとする意欲があるか
- その他、学修の意欲が十分にあると認められるか
2.志望理由書と学習計画書の違い
大学で何を学びたいか、どう学びたいのかを書いていくと聞くと似た書類がありましたね。
そう、志望理由書です。
志望理由書はこれまでの経験やきっかけ、将来像を含めて学びたい理由を伝え、学習計画書は大学に入ってからの行動を伝えていきます。
ですので、志望理由書に描いた将来像のために、学習計画書において大学でどのような学びをしていくかをより具体的に計画していくと考えると書きやすいでしょう。
たとえるなら、旅のきっかけと目的地を決めたら、行き先までのルート確認や途中の寄り道をガイドブックや地図などを見ながら決めていくようなものです。
3.書き出す前に考えよう・調べよう
学習計画書は大学のことをよく知らずにとりあえず書き出すのは困難です。 まずは徹底的に考えて、調べましょう。
〇大学に入る目的を考える
大学に入る目的を洗いなおしましょう。
どういうことがやりたくてこの大学を選んだのかを改めて考えてください。
そしてそれはどうしてこの大学でなければならなかったのか。
「その学びはここの大学ではあまりできないですよ」と言われることのないよう、しっかりとその大学に入る目的を明確にしておきます。
キャリア設計・人生設計をし、そのために必要な学び・大学選びをしてきたと思いますが、これを改めて確認しましょう。
小学校教諭を志すにあたり、保育士・幼稚園教諭の免許も合わせて取得して子どものエキスパートを目指す人もいれば、英語教育に力を入れたいという人、不登校への知見を深めたい人もいるでしょう。
小学校教諭の免許を取得できる大学は多々ありますが、得意とすること、できることは大学によって変わってきます。 希望する学部・学科の学問の入門書なども読みながら、どういったことが学びたいのかをより具体的に考えておくと良いでしょう。
〇シラバスを見よう
シラバスとは大学の授業の要項のことで、各授業でどのようなことを学んでいけるのかが明示されています。
講義名、講義の内容、ねらいや目標などがまとめられています。
WEB上にシラバスを公開している大学が多くありますので、ぜひ活用して目的のために受けたい授業や、学部・学科で必須の授業などを確認してみましょう。
シラバスの中で興味をそそられた授業については、参考文献や教科書として指定されている文献がある際には、調べてみるのも良いでしょう。 また、カリキュラム・ポリシーを並行してみておくことで、各学年でどのような教育方針のもと授業が行われているのかも知ることができます。
〇研究室や教授をホームページでチェック
学んでみたい大学教授が見つかったら、研究室のホームページで確認してみましょう。 そこにある研究テーマや卒業生の卒論が興味関心に近ければ、研究室の名前を書くことで説得力も増します。
4.計画を書いてみよう
学習計画書は学習の目的、学習の計画、学習継続の意志の流れで書いていきます。 そこでその3つに従ったスリーステップで書き方を提示していきます。
①学習の目的:大学でやりたいことを伝える
学習計画を作るうえで最も重要なのが、大学でやりたいことを明記すること。
目指すべきゴールが見えなければ計画は立てられませんよね。
明確なゴールとそのためにこの大学に入るのだということをしっかりと明確にしてください。
②学習の計画:学年ごとにやることを決める
さて、目的が決まったら次はその達成のための計画を立てていきましょう。
その際、4年間の学びたいことを乱雑に上げるのではなく、より現実的に各学年で行うことを書き出していきます。
すると、学習がステップアップしていく計画書になっていきます。
1年次には一般教養や語学など基礎知識やスキルを身に着けます。2年次には学部や学科の専門講義が始まります。3年次にはゼミや研究室に所属することになりますので、担当教授の名前や研究テーマなども交えながら説明していきます。4年次には現時点の研究テーマと考えられる結論を述べていきましょう。
各大学にはカリキュラム・ポリシー(教育課程編成方針)があり、ホームページで公開しています。学部や学科、専攻ごとに各学年や語学、専門科目について学びの方針が明記されています。
これも学習計画を立てるときに材料として使えます。
また、そのほかにも課外活動や副専攻、実習など自分の目的に合ったものがあれば学習計画に積極的に取り入れていきましょう。
③学習継続の意志:卒業まで学習を継続しようとする意志と今後への繋がり
卒業まで学びをきちんと全うする意思を明確にします。
②の計画の際に4年次につなげる学びとともに意欲を明確にするという書き方もあります。
卒業に近い時期の計画になりますので、単純に受けたい授業を書くのではなく、最終目的につながるようにして、学びたいという気持ちを入れ込んでいくことが大切になります。
5.対策はすべき?
学習計画書は一度書いたら終わりではなく、考えて書いて考えて書き直してブラッシュアップしていきましょう。
遅くとも出願の数週間前には取り掛かりましょう。
添削は学校の先生も添削してくれると思いますが、より専門的に塾で見てもらうと書くべきこと書かざるべきこと、大学教授からすると「おっ」と思ってもらえることなど細かく添削してもらえます。
あおい予備校でも、学習計画書の作成はばっちりサポート。
志望理由書や小論文などのサポートとあわせて対策してまいります。
まずはお気軽にご相談ください。 総合型選抜(旧AO入試)の事前提出書類対策は書類の完成保証付きで、大学ごとに異なるフォーマットにオーダーメイドで一人一人に合わせてオーダーメイドし、オンリーワンの書類作成を徹底サポートします。
6.まとめ
学習計画書は総合型選抜(旧AO入試)で求められる書類の一つです。
自分が大学に入る目的のためにどのような学びや活動をしていくのかを明記していくものになります。
思いつくままにプランを立てるのではなく、目的に合わせて、どのようなステップを踏んで学び進めていくのか、それをしっかりと4年生まで続け、目的を達成していくのかを意識して書いていきます。
しっかりと計画を練れている学習計画書は、その大学でいかに学びたいのかがきちんと伝わります。
この記事を書いた人:武田 菜穂子(あおい予備校校長)
早稲田大学大学院(政治学研究科)博士課程修了。上智大学大学院(現 グローバル・スタディーズ 国際関係論専攻)修了。上智では日本人初の国連難民高等弁務官 緒方貞子氏に師事。県立高校教諭、大手証券会社を経て有名塾・有名予備校講師を歴任。
予備校講師歴35年以上。日経新聞など各メディアへの出演も多数。これまでに指導してきた生徒はのべ20,000名以上※。生徒一人ひとりの個性を生かした進路指導に定評がある。
※一般・総合型選抜(旧AO)、各種推薦など