総合型選抜(旧AO入試)の口頭試問って?
総合型選抜(旧AO入試)の二次選抜では大学によってさまざまな試験内容が用意されています。
今回はその中の一つ、「口頭試問」についてご紹介します。
面接のように試験官と対峙して答えていく試験ですが、面接とは何が違うのでしょうか。
ここではその違い、攻略法などをお伝えしていきますね。
◆目次
1.総合型選抜(旧AO入試)における口頭試問とは
そもそも口頭試問とはどんな試験なのでしょう。
見極められているのは、学習意欲や思考力、基礎学力など受験生の能力です。
実は従来のAO入試では、学力検査は必須ではありませんでしたが、2020年の大学入試改革によって学力をより重視されるようになり、学力検査が、課せられるようになりました。
そのため、学科試験や書類審査、小論文など何かしらの形で学力を評価しています。 その一つが口頭試問で、これを選択する大学も増えています。
2.口頭試問と面接の違いって?
試験官と対峙して、質問されたことに答えていくというスタイルだけでいうと、口頭試問も面接も変わりません。
そのため、受験生の多くがこの2つを混同しがちになっています。
口頭試問が受験生の学習意欲や思考力、学力を見るのに対し、面接は志望動機や自己PR、将来展望などを見ていきます。
簡単に言えば、口頭試問が学習面と思考力、面接が人間性を見るための試験です。
しかし、気を付けなければならないのが、多くの大学では面接の中で口頭試問の要素を入れ込んでいます。
はっきりと口頭試問と面接を分けている場合はわかりやすいですが、面接がある場合も必ず口頭試問の対策をしなければならないのです。
3.口頭試問では何を聞かれる?
具体的な質問の例を紹介していきましょう。
●最近気になるニュースを問われる
あなたの気になるニュースを答える質問ですが、ここではいかに社会に目を向けているかと、志望学部にふさわしい思考力があるかを見られています。
たとえば、新型コロナウイルス感染症のニュースが気になっていたとしましょう。
そこで「なかなか出かけられずにもやもやします」、「感染の状況が心配です」、「早く薬ができるといいと思います」などではただの感想になってしまいます。
たとえば、新型コロナウイルス感染症によって影響が出た飲食店に目を向け、経済対策について思考したり、医療現場の人材不足による疲弊を論じたり、女性の自死が増えている問題について目を向けたり、ご自身の学びとの関連からもう一歩進んで答えられるようにしておきましょう。
日頃からネットはもちろん、新聞やラジオ、テレビなどでもニュースを見るようにしておきましょう。
●学部や学科に関連した内容を問われる
受験する学部や学科に関する設問が出ます。
たとえば、情報系の学部ならインターネット社会について、教育系の学部ではいじめや子どもの貧困、社会系の学部では人口減少や少子高齢化についてなどです。
ここでほかの受験生よりも一歩前に出るなら、自分の考えのみを述べるのではなく、専門知識や昨今の情勢に基づいた根拠とともに答えるとより良いでしょう。
受験生からすれば、試験は受かるか受からないかのふるいにかけられていると思うかもしれませんが、面接官をする大学教授は一緒に研究する人を選んでいます。
そのため、しっかりと根拠を持って考えを述べることができれば、一目置かれるでしょう。
つまり、必要なのは志望する学部学科の学問に関する知識や自分が志望理由に書いたことに関する知識です。この辺りは確認しておきましょう(詳しくは以下対策方法へ)。
あおい予備校では「アカデミックな視点」を重視していますが、この設問でもアカデミックな視点は非常に大事になってくるでしょう。
●基礎学力を問われる
英語では英語での受け答え、国語では文章を読んで質問に答える、などの形で基礎学力を問われる問題が出ることがあります。
4.口頭試問の対策方法
1.基礎知識を身に付けておく
志望学部に関する基礎知識を勉強しておきましょう。
そもそもの基礎知識がなければ専門分野に関する受け答えはできません。
もちろん、それを大学で学んでいくのですが、最低限の基礎ベースは見ておきましょう。
たとえば、法学部を総合型選抜(旧AO入試)で受験するのに、そもそも法律とは何かを知らなければ志望理由すら書けないですよね。
受験生にとっては基礎どころかどこから手を付ければいいのかを迷うこともあると思いますが、図書館や書店で専門分野の一般向けの入門書を開いてみることや、大学に通う先輩に話を聞く、大学の要項を見てわからない単語や模擬授業などを受けるなどして疑問に思ったことを調べておくところから始めるのも良いでしょう。しかし、専門知識については、大学に入ってから身に着けていくことになるので、詳しく理解する必要はありません。高校の授業で習った範囲の知識で充分です。
教科書の範囲をまずは網羅しておきましょう。
2.書類選抜に提出した内容はしっかりと把握しておく
先にもお伝えしていますが、口頭試問は面接の中に組み込まれていることが多く、面接の中で突然口頭試問の要素が飛んでくることがあります。
志望動機にある内容について知識がないと誰かに書いてもらったのではと受け取られ、悪印象になりかねません。
自分が志望動機に書いた理由についてはしっかりと答えられるようにしておきましょう。
3.自分の意見を持つようにしておく
よくある質問に最近のニュースや時事問題を問われることがあるため、すでにニュースはチェックしているという人も多いと思います。
まだという人は今日から始めていきましょう。
口頭試問対策としてもう一歩力を付けておくなら、そのニュースに対して自分の思いや考えを持つのはいかがでしょうか。
たとえばコロナ禍でタブレットを使用したオンライン授業が行われていたニュースは何度か目にしたことがあるかと思いますし、皆さんはまさにその渦中でした。
その時のご自身の気持ち、そこで生じた疑問、ほかの人の視点、どういう立場(医療・教育・親・生徒など)から見るとどういう意見になるか、など考えてみたことはあるでしょうか。
「Why」の気持ちを持ってニュースに触れ、「どうしてこうしたことが起きたのか」、「自分であればこうする」など意見を持つように習慣づけると、徐々に力が付いてきます。
意見や考えを持つことがよくわからなければ、テレビやラジオのニュース番組や社説を見てみてください。
ニュース番組でコメンテーターが伝えることに事実だけでなく意見が反映されていることがあり、社説では貴社の意見が載せられています。
これらの意見はうのみにする必要はありませんが、同じニュースを見てこういう視点を持つ人やこういう考えを持つ人がいるという参考になります。
5.口頭試問の疑問にお答えします!
ここでは、口頭試問に関してよくある質問(FAQ)を紹介します。
Q.わからない質問が来た場合はどうすればいいのでしょうか?
A.かなり焦ると思いますが、総合型選抜(旧AO入試)で口頭試問に答えられないからといってすぐに受験に不合格の判断をされることはありません。
焦りのあまり嘘やごまかしで回答してしまう方が危険です。知ったかぶりや言い訳も避けてください。わからないことはわからなくても構いません。
「申し訳ありません。勉強不足で調べられていません。試験が終わったらすぐに調べてみようと思います」などという風に自分の知識不足を認めましょう。
不測の質問が来た際は、素直に認めることと、その後の学習意欲を示すことで、試験官にマイナスに取られることはないでしょう。
Q.どんな服装で行けばいいですか?
A.高校生なら制服を着用するのが無難です。
制服がない場合などは男女ともに、シャツやリクルートスーツを着用するなど、清潔感のある礼儀正しい服装を意識しましょう。身だしなみでつまずくことがないように。
Q.言葉遣いも練習しておく必要がありますか?
A.言葉遣いは最低限身に着けておくべきです。
受験生の多くはまだ社会に出た経験がありません。アルバイトなどで働いた経験があっても、敬語が染みついている人は少ないでしょう。
友達同士のラフな話し言葉ではなく、きちんとした言葉遣いで相手に考えを伝えることができるかも評価のポイントになります。
必要以上に意識しすぎて、対策が疎かになっては本末転倒ですが、最低限の言葉遣いは礼儀として身に着けておきましょう。
Q.アドミッション・ポリシーは口頭試問対策でも見ておくべきですか?
A.総合型選抜(旧AO入試)はアドミッション・ポリシーに合う人を選抜する方法です。つまり、アドミッション・ポリシーを確認しておくことは非常に有効です。
大学の求める学生像と照らし合わせ、自分に足りない知識を勉強し、自分のアピールポイントを決めておくと、口頭試問でも役に立つでしょう。
Q.知識を身に着けて、時事問題に強くなれば大丈夫?
A.知識を身に着けるだけでなく、本番に近い環境で練習をしましょう。
頭で考えていても実際に話し出すと答えられない人が大半です。面接対策と同じく、実際に質問をしてもらい、その場で答える練習をします。解答する時間も決めてみましょう。
何度も繰り返し練習をして、どのような角度から質問が飛んできても的確に答えられるようにしておきましょう。録画などをして客観的に観ることや友人同士で行うなら自分でも試験官役をやってみると視点が変わるので良いでしょう。
なお、口頭試問には人間性よりもアカデミックな視点や専門性などを見られます。より強化しておくには、友人同士や学校での対策だけでなく、塾や予備校での専門的な対策をおすすめします。
6.まとめ
総合型選抜(旧AO入試)では、学力を測るために口頭試問が課せられる大学があります。
志望動機や将来への展望、大学で学びたいことを伝えていくのが「面接」で、専門的な知識や時事問題から考えを述べるのが「口頭試問」です。
しかし、口頭試問として独立していない場合でも、面接内において口頭試問と同じ役割を持つ質問をされることがほとんどです。
そのため、面接試験がある人は対策が必要ですが、口頭試問は多くの受験生にとって馴染みがなく、対策がわからず苦手意識を持ってしまうものかもしれません。
ですが、きちんと対策をして練習を繰り返せば、決して難しいものではありません。
口頭試問には知識と教授陣をおっと思わせるこたえができるとより良いので、友人や学校での対策にとどまらず、塾での対策を視野に入れてくださいね。 あおい予備校はアカデミックな視点を持った講師ばかりなので、口頭試問対策もばっちりです。
この記事を書いた人:武田 菜穂子(あおい予備校校長)
早稲田大学大学院(政治学研究科)博士課程修了。上智大学大学院(現 グローバル・スタディーズ 国際関係論専攻)修了。上智では日本人初の国連難民高等弁務官 緒方貞子氏に師事。県立高校教諭、大手証券会社を経て有名塾・有名予備校講師を歴任。
予備校講師歴35年以上。日経新聞など各メディアへの出演も多数。これまでに指導してきた生徒はのべ20,000名以上※。生徒一人ひとりの個性を生かした進路指導に定評がある。
※一般・総合型選抜(旧AO)、各種推薦など