小論文と作文って何が違うの?小論文と作文の違いを解説します

総合型選抜(旧AO入試)では小論文が求められることが多いですが、対策をしていない受験生の多くはこれが「作文」になってしまう傾向にあります。
皆さんは小学生の頃から今まで、さまざまな文章を書く機会がありましたよね。
しかし、読書感想文をはじめ、皆さんが書いてきた文章の多くは作文でした。
小論文に初めて挑戦すると、もしかしたら、「作文になっています」などと指摘されたという人もいるのではないでしょうか。
安心してください。
指導を受けていなければ、そうなってしまうのは当然のことなのです。
そこで今回は小論文を書き始めると最初にぶつかる作文との違いについて、その疑問を解決していきましょう。

◆目次

1.小論文と作文の違いは?

2.総合型選抜(旧AO入試)に必要なのは小論文?

3.作文の方が簡単?

4.まとめ

1.小論文と作文の違いは?

●目的・伝える内容が異なる
小論文は自身の意見や主張について読み手を説得させるための文章で、作文はものごとを伝えるための文章で、自身の体験やそれを通じて感じたことなどを盛り込んでいきます。

●客観的か主観的か
小論文とは読み手を説得させるために客観的な根拠に基づかなければならず、作文は主観的になっても構いません。


・この水族館は魅力的だ。かわいいシャチがいるのだから。
・この水族館は魅力的だ。なぜなら日本に2か所しか飼育されていないシャチがいるのだから。

とある水族館の魅力を紹介しようとするときに、どちらも理由とともに伝えていますが、前者は主観的に、後者は客観的に伝えています。
友人同士で話しているなら上の方が魅力的に思うかもしれませんが、かわいいはあくまでも主観で、怖いと思う人やカッコいいと思う人もいます。
しかし、後者の事実は誰が話しても変わりません。


このように誰から見ても明らかな事実が客観的な根拠になります。
すなわち、評価されるポイントも異なってきます。小論文は読み手を説得できる内容であれば評価され、作文は読み手を引き付ける文章であれば評価され、そこには当然根拠は必要なく、自分の経験や感想を基に述べていきます。

●「問い」に対する「答え(結論・意見)」を出す必要があるかないか

小論文には問題提起があり、これに答え、結論や意見、主張などを提示し、それを読み手に納得してもらう論理的な文章でなければなりません。

逆に作文は何か答えを出す必要はなく、文章も情緒的で構いません。

●比喩などの表現技法の有無

作文は比喩などの表現技法を用いることで、文章が単調にならないようにして読み手に印象づけることも必要です。

一方、小論文は凝った表現を使うのではなく、むしろできるだけ簡潔な表現にする必要があります。例えば「~すべきだと思う」は「~すべきだ」と書く方が良いでしょう。

●文体は「です・ます」か「だ・である」か

小論文では「だ・である」調が望ましいですが、作文は「だ・である」でも「です・ます」でもかまいません。ただ、いずれの場合も基本的にはどちらかに統一すべきです。

2.総合型選抜(旧AO入試)に必要なのは小論文?

ほとんどの大学では総合型選抜(旧AO入試)に小論文を取り入れています。

ですので、総合型選抜(旧AO入試)を検討している高校生や受験生で志望校に迷っているなら小論文対策をしておくと良いでしょう。 ただし、一部芸術系の大学などで例外があり、作文を求めている場合があります。語彙力や表現力、着眼点、感性などが評価されます。

3.作文の方が簡単?

実は小論文は書き方のコツやロジックがあるので、それをマスターすれば書けるようになってきます。

つまり、誰でも評価される文章を書くことができます。

オリジナリティも特に必要はありませんが、意見に対する根拠や自分の意見に対する解決策に他の受験生には見られない解答があると、加点の対象にはなります。

しかし、ここで注意すべきなのは、ユニークさだけを追求してはならないことです。

ニュースをよく見聞きし、専門分野について勉強し、さまざまな知見に触れていたことで生まれる視点やほかの人が挙げてこない根拠を述べられると、独自性が出てきます。

より高得点を狙うなら情報収集は必須ですが、まず論理的な文章を書けるようになることが大前提。 ルールを理解し、練習をすれば書けるようになってくるので、安心して対策に臨んでください。

一方で作文には決まった型がありません。文章の構成の仕方も文体も表現も自由。

自由だからこそ高評価を狙うためのパターンや必勝法がないのです。

小論文と違い、オリジナリティを出すことが評価されますが、文章が崩れてしまっては意味がありません。

もちろん、文章の読みやすさや表現のバリエーションは学ぶことができますが、それを使いこなして独創性のある魅力的な文章を作るには習練やセンスが必要です。

子どもの頃から書くのに慣れ親しんでいるはずの作文ですが、評価を受ける作文を書くのは実は難しいのです。ちょっと意外ですよね。

たとえば、2022年の入試で日本大学芸術学部では以下のような作文課題が出ています。

・文芸学科「取り残されてしまった人」が登場する話を作文してください(小論文との選択制)

・演劇学科「嘘のような本当の話」をタイトルとして作文しなさい

・放送学科「まる」

いかがですか?

小論文とはまた違う難しさを感じますよね。

作文なら小学校の頃から書いているから大丈夫とは思わず、きちんと対策をしておきましょう。

4.まとめ

文章を書くというのは一朝一夕で身に付くスキルではありません。

スキルだけでなく小論文ならニュースや専門知識などの情報収集を、作文なら表現力や言葉のバリエーションなどを増やしていかなければなりません。

何度も練習し、また学校の先生や塾の先生などに読んでもらう必要があります。

文章として言葉遣いが正しいか、原稿用紙の使い方は合っているか、文章の流れが悪くないか、など作文にも小論文にも共通する文章の基本は守れているか、小論文の場合は客観的な事実に基づく論理性のある文章になっているか、作文の場合は独自性を出した魅力的な文章になっているか、徹底的に見てもらいましょう。

時間内に書き終えるスピードも身に着ける必要があります。

志望校の総合型選抜(旧AO入試)を考えているなら、1、2年生からでも文章を書くスキルを伸ばしておくこともおすすめです。

あおい予備校では、小論文はもちろんのこと、作文の対策講座も行っています。

芸術系の大学の対策も可能ですし、塾生の合格実績もございます。 作文の対策をどうすればいいのか悩んでいる方は、まずは相談してみてください。

この記事を書いた人:武田 菜穂子(あおい予備校校長)

早稲田大学大学院(政治学研究科)博士課程修了。上智大学大学院(現 グローバル・スタディーズ 国際関係論専攻)修了。上智では日本人初の国連難民高等弁務官 緒方貞子氏に師事。県立高校教諭、大手証券会社を経て有名塾・有名予備校講師を歴任。

予備校講師歴35年以上。日経新聞など各メディアへの出演も多数。これまでに指導してきた生徒はのべ20,000名以上※。生徒一人ひとりの個性を生かした進路指導に定評がある。
※一般・総合型選抜(旧AO)、各種推薦など

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