【校長ブログ】第11回 志望理由書には何をかくべきなのか(その2)
※この記事は2021年6月7日、noteにて掲載したものを再編集しています。
前回のブログで、志望理由書のポイントとして、これまでの経験に裏付けたれた問題意識が重要であること、それが差別化できるポイントの一つであることをお伝えいたしました。
今回は志望理由書に必ず書かなければならない「学びたいこと」についてさらに詳しくお伝えしたいと思います。
目次
「学びたいこと」とは?
端的に言って、「学びたいこと」というのは将来の目標に向けて「学ぶべきこと」です。
大学の授業というのは本当にたくさんの種類があり、こんなことも学べるの?という驚きの内容があったりします。
「恋愛学」や「アニメーション文化論」といった授業タイトルを見ると、単純に「おもしろそう」と興味が沸いてくるはずです。
高校までの授業が「興味」というより受験という「必要」に迫られて履修するというスタイルだっただけに、大学の授業はなんと自由なのか、と思われることでしょう。
こういう学ぶ楽しさの発見というのは、大学ならではの魅力だと思います。かく言う私もそんな大学の魅力にずっと取りつかれてきたひとりです。
けれども志望理由書に書く「学びたいこと」というのは、ビュッフェで好きなものをお皿に盛るような感覚で選ぶものとは違います。
将来の目標は○○だから、その目標のためにこういう授業が必要だというように書かなければなりません。
大学の授業の選択は自由と書きましたが、必修科目はありますし、
標準的な4年間の履修モデル・時間割は大学のパンフレットや、
学部・学科ごとのウェブサイトに掲載されています。
国家資格の取得を目指す学部・学科の場合は、必修科目の比重は大きくなります。ですから、こうした学部・学科の志望理由書は授業タイトルを列挙するのはあまり意味がないと思います。
ではどうするのか、というと「シラバス」を参照することになります。
「学びたいこと」はシラバス次第!
シラバスというのは授業計画書のことです。
シラバスには
・授業の目標
・使用する教科書
・評価方法(テスト・レポート・出席等を成績評価の際にどのように利用するのか)
が書かれています。
半期15回の授業の1回ごとに何を扱うのかが詳しく書かれ、学生はこのシラバスを参考にして自分の時間割を組んでいきます。
以前はこのシラバスは大学に入学してから冊子として配布されるものでした。
もちろん今でも冊子を配る大学もありますが、インターネットの普及とともにこのシラバスは外部である私たちも参照できるようになりました。
このシラバスを参照するかどうかで「学びたいこと」の中身はだいぶ変わってくるのではないかと思います。
以前、ある大学のプロモーションに関わっていたのですが、大学の広報担当者からいただいた言葉が非常に印象に残っています。
大学にとっての商品は「授業」であり、その授業を担当する「教員」だというのです。
看板教授という言葉があるように、その大学で学びたい理由として、「この授業を取りたい」「この教授に習いたい」ことほど強力な理由はないかもしれません。
3ステップで差別化できる志望理由書を
お気に入りのサイトを見つけたらブックマークをつけるように、気になる授業・気になる先生を見つけてみてください。
シラバスで授業内容を調べることで、実際にその大学で学ぶイメージが具体的につかめるのではないでしょうか。
最後にまとめると、
①4年間のモデル履修プランをまずチェックし、
②授業を担当する教授とその授業内容をシラバスで参照し、
③自分の目標に合わせた「学ぶべきこと」を組み上げていく
という作業をしていきましょう。
過去の経験に裏付けられた問題意識とこの「学ぶべきこと」を組み合わせて、他の受験生と差別化できる志望理由書を書き上げましょう。
この記事を書いた人:武田 菜穂子(あおい予備校校長)
早稲田大学大学院(政治学研究科)博士課程修了。上智大学大学院(現 グローバル・スタディーズ 国際関係論専攻)修了。上智では日本人初の国連難民高等弁務官 緒方貞子氏に師事。県立高校教諭、大手証券会社を経て有名塾・有名予備校講師を歴任。
予備校講師歴35年以上。日経新聞など各メディアへの出演も多数。これまでに指導してきた生徒はのべ20,000名以上※。生徒一人ひとりの個性を生かした進路指導に定評がある。
※一般・総合型選抜(旧AO)、各種推薦など